現在、世の中にはエンターテインメントと呼ばれる部類のものがたくさん存在しています。もちろんゲームもエンターテインメント・コンテンツの一種です。
とキリがありません。何故これほどまでに身の回りにあるのかを考えてみると、インフラがある、と言う事実を思いつきます。
インフラというのは、たとえばTV・ラジオ・雑誌といった旧来のメディアや、コンシューマーハード(いわゆるゲーム機)、ケータイ(単なる電話を越えて)、ブロードバンド・インターネットといった比較的最近現われてきたメディアなど、コンテンツを供給できるもののことです。これらのインフラが、とくにここ日本ではバランス良く整っています。個々のメディアの普及率では他の地域の方が上を行っていますが、これら全てが揃い、お互いにライバルとして切磋琢磨している地域はそれ程多くありません。その意味で、日本はエンターテインメント・コンテンツの激戦区と言えます。
この中でゲームというものを捉えなおしてみますと、どうも元気が無いように思えます。先日も「2003年度の国内ゲーム市場縮小続く」という記事が出たばかりです。
よく、「最近のゲームはつまらない」と言う意見を耳にします。これに対しては異論反論・賛成意見、多々あります。私自身の意見としては次の2つが要因だろうと考えています。
基本的に過去と比べて今のゲームがつまらなくなった、とは考えていません。むしろ、これらの原因でそのように感じられている、というのが正解だと思います。特に後者はとても大きな原因になっているだろう、と考えています。
このエントリーのタイトルには「なんだ、ゲームか」と付けました。これは今、世の中からゲームがどう思われているのかを類推したときに出てきた台詞です。たとえば、道にぽつんとゲームソフトが落ちていたとします。その昔、たとえばファミコンが大ブームだった時代ならば、「おっ」と人々の目にとまったでしょう。けれども、今、目にとまった時、多くの人はどのように思うでしょうか。「なんだ、ゲームか」で片付けてしまうのではないでしょうか。
このように考える根拠は、実は前述した後者と同じです。ゲームが世の中に出たばかりの頃は、存在それ自体が珍しく、人々の興味を引くものでした。ところが今現在では多くのエンターテインメントの中で薄れてしまっています。ゲームをエンターテインメントとしてみた場合、人を惹きつけるだけの驚きを与えられていないのが現状です。
世の中のゲームタイトルの多くは決して「ゲームとして」詰まらない訳ではありません。しかしながら、「エンターテイメントとして」みた場合、他のエンターテイメントを凌駕するだけの新しい驚きと魅力がありません。これでは相対的に詰まらないように見えてしまうのは当然です。
ゲームに求められているもの、それはゲーム自体の進化です。他のエンターテイメントに負けない、新しい驚きを提供できなければ、コアなファンだけに支持される狭い娯楽になってしまうでしょう。
私がゲームデザインの調査と研究に興味があるのは、(大袈裟に言えば)ゲームの本質とは何かを明らかにし、そこからどうやって新しい驚きを産み出していけるか、と考えているからです。現時点では私は明らかに力不足ですし、目標には遠く及びません。それでもここでの活動が少しでも「なんだ、ゲームか」→「わぁ、ゲームだ」と代わることに繋がるようになっていければいいな、と考えています。
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