ゲームデザインの際に、そのゲームはどのようにプレイされるのか考える事は重要です。特に、プレイヤーがどんなテンションでゲームプレイに挑むのか、しっかりと考える必要があります。
ゲームのプレイヤーと一口に言っても、千差万別です。ハードを持っているだけで、ほとんどゲームをプレイしない「ハードオーナー」から、毎日何時間もプレイし続けるコアゲーマーまでありとあらゆる人がプレイしています。
この事実は、プレイヤーによってゲームに対するテンションが異なる、と言うことを示しています。似たような層の人々でさえもジャンルや媒体の違い(据置機か携帯型か、など)によってゲームに対するテンションが異なります。
プレイヤーのテンションの違いは、ゲームプレイの質の違いに影響します。たとえば、その昔ゲームボーイで初めて「テトリス」が出て、プレイしたときのテンションと、今現在携帯電話のアプリとして「テトリス」をプレイするときを比べてみます。
前者では、今までに見たことの無い、新しいゲームとしてプレイヤーは高いテンションを持ってプレイに挑みます。どこまでプレイできるのか、熱心にプレイするでしょう。逆に後者では定番のゲームとして、ひまつぶしにプレイします。友達から電話やメールが着たら、そこでプレイは放棄されてしまうでしょう。熱心にプレイに挑む人はごく少数です。
このように明らかにテンションが異なり、ゲームのプレイそれ自体が異なっています。プレイヤーのテンションによって、ゲームプレイは異質のものとなるのです。
この事実は、ゲームデザインにおいて見逃せない点です。なぜなら、プレイヤーのテンションとゲームが求めるテンションに差異がある場合、どうしてもゲームがちぐはぐになり、結局プレイヤーはゲームを放棄してしまうことが考えられるからです。
PS2用のゲームはもう作る気がしないけど、 PSX用のゲームは作っ てみたい気がする。 同じハード(ゲーム機部分)じゃんと言われそうだけど、 違うんだなぁ。 持ち主のゲームに対する姿勢が違う(たぶん)。 PS2ユーザーは、やる気満々でゲームをするだろうけど、 PSXユーザーは、きっと、 テレビを見るのと同じテンションでゲームに接すると思う。 HDDに録画したテレビ番組と同じ視点とテンションで ゲームをやるに違いない。 そういう場合には、受けるゲームも違ってくるはずだ。Dr.森川の人間風車#663
これは森川幸人氏(「Jumping Flash!」や「頑張れ森川君2号」などで有名)の日記からの引用ですが、まさにこのことを指しています。ここではPS2とPSXですら、プレイヤーのテンションに差異が生まれ、それぞれのテンションに合わせたゲームデザインの必要性が指摘されています。
プレイヤーのテンションの違いがゲームプレイの質の違いを生む。ゲームデザイナーはプレイヤーのテンションに合わせてゲームプレイの質を合わせるデザインを求められていると言えます。
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