May 16, 2004

Designing with Gameplay Modes and Flowboards

[ Category : Game design ]

Ernest Adams氏によるGamasutraのコラムを紹介します。Ernest Adams氏は元EAのエンジニアで現在はコンサルタント業・哲学者をされている方だそうです(forGamer.netのGDC2002の記事に紹介があります。こちらの記事も興味深い内容です。)。

ゲームプレイ・モード

ゲームプレイ・モード」と言う考え方が紹介されています。ゲーム中でのプレイの状態、プレイの質、と言い換えられるでしょうか。 記事では、プレイヤーがプレイの際に経験する3つの点が挙げられています。

  1. A means of perceiving the game world (ゲーム内の世界を知覚する手段)
  2. A means of influencing the game world (ゲーム内の世界に影響を与える手段)
  3. The gameplay itself (プレイ自体)

ゲームプレイ・モードはこれらの組み合わせから成り立っているそうです。このうちのどれかが変化する時、同時にゲームプレイ・モードも変化する、と書かれています。

 「ゲーム内の世界を知覚する手段」はいわゆる視点や画面上の表示、BGMやSE、振動などが当てはまるでしょうか。いわゆるゲーム側からのプレイヤーへの出力とも言い換えられそうです。

 「ゲーム内の世界に影響を与える手段」は、interaction model(相互作用モデル)と元記事内で言い換えられています。「ゲーム内の世界を知覚する手段」に対して入力、といえるかと思います。 さらに細かく見てゆくと、アクションゲームに多い「アバターベースのモデル」とボードゲームやウォーゲームに多い「偏在モデル」の2つが共通に見られるそうです。

前者はプレイヤーキャラクターのみをゲームトークンとして操作するゲームなどの例が思い浮かびます(スーパーマリオなど、ほとんどのアクションゲームはそうですね)。後者は、日本で言うところのシミュレーションゲームで、沢山のキャラクターをコマとして(つまりゲームトークンとして)操作するゲームの例が思い当たります。なるほどと思う分類法です。

 3つ目の「プレイ自体」は、前の2つとは少し異質なもののような気もします。微妙に違和感を感じるのですが、「ゲームプレイは挑戦と行動から成り立つ」、という部分には納得です。

元記事では、レースゲーム(GT)やテトリス、パックマンを例に出して説明されているので是非一読を。 ゲームプレイについて書かれている部分をざっと読んでみて目に付いたのは以下の2点です。

  • 複雑なゲームほど、このゲームプレイ・モードを多く含んでいる
  • 静止した状態のノン・インタラクティブなゲームプレイ・モードも存在する
前者は経験的にも納得がいきます。大作、といわれるゲームほど、場面場面で違うゲームプレイを要求される事が多いような気がします。 後者は、インタラクティブではないゲームプレイという部分に違和感を感じますが、それもゲームプレイ・モードの一つとして捉えることが可能である、という点で興味深いです。

「ゲームデザインを書き示す時に、どこから始めるか?」

さらにこの記事は以下の様に続いています。
  • ゲームの構造は、このゲームプレイ・モード相互の関係によって成り立つ。
  • この構造を最も効果的にしめす方法がフローボード(flowboard)である。
  • これはフローチャートとストーリーボードを組み合わせたものであり、多くの絵を使用しているがストーリーボードの様に一直線ではないというものである。

「フローボード」に関しては、確かにゲームの構造を表すものとしては分かりやすい印象を受けます。ただ、UMLにも似ているような気もします。私はUMLについては詳しくないのですが、UMLでも記述が出来そうな気もします。


ゲームプレイ・モードという考え方は、ゲームの構造が大変分かりやすく示すことが可能なようで、大変興味深い考えです。また、このゲームプレイ・モードを構成する3つの要素の考え方も興味深いものです。

ゲームの構造は、プログラムとして捉える方法は色々ありましたが、ゲームデザインの観点からはなかなか図示しにくいものだった印象が私にはありました。このゲームプレイ・モードやフローボードがきっかけになりそうな予感です。

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